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金投資1stステップ
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金価格の捉え方・・・日本円は世界最強の通貨?
(金に視点を置いて通貨を見ると為替市場も違った形で見えてくる)

●金価格の上昇、意味するのは通貨価値の下落

ドル建て金価格が過去最高値を更新というニュースがメディアで取り上げられることも多くなりました。金の国際取引はドル建てが基本になりますのでメディアで取り上げられるのはドル建て価格が多くなります。国内円建て価格のように、それぞれの国・地域では現地通貨建てで金の国内取引は行われています。2008年以降はドル建て価格の高値更新と同様に各国通貨建ての金価格も軒並み高値を更新してきました。例えばユーロ建ての現物価格は2010年5月17日に初めて1オンス、1000ユーロを突破しました。ドル建て金価格の上昇に加えギリシャ危機がユーロ圏の金融市場の混乱につながりユーロが対ドルを中心に売られたのが上昇の背景でした。同じように英ポンド、豪ドル、カナダドル、スイスフラン、インドルピー、南アランド建てなど主要通貨を中心に現地価格建ての金価格はここにきて軒並み過去最高値を更新しているのです。具体的には円建て価格以外は高値を更新しているのです。

2010年11月5日時点での、ドル建て価格の過去最高値はロンドンの現物価格(午後の値付け価格)でみて2010年11月5日の1393.00ドルとなっています。この過去最高値ですが、金を基点にした表現をするとどうなるのでしょうか。答えは、「金に対しドルは過去最安値を更新中」ということになります。

ドル建て金価格の上昇トレンド(傾向)は2001年5月以降、ここまで9年超にわたり続いてきました。さらに基礎情報の「4.日本における金価格の最高値について」の項目で取り上げたように2008年1月に従来の過去最高値850ドルを超えて以来、継続的に高値の更新を続けてきているのです。先の表現を使うなら、“ドルは金に対し安値の更新を続けている”ということになります。例えば1000ドルで買える金の量がどんどん減っていると言ったほうがわかりやすいかもしれません。やや専門的な言い方をすると「金の高値更新」とは、「ドルの(金に対する)減価」を意味しているのです。

●金を基点にみれば日本円は最強の通貨

さて、ここで思い起こしていただきたいのは、ドル以外の各国通貨建て金価格も高値を更新しているという事実です。それはドルと同じように金に対して通貨価値を落としているということになります・・・・日本円を除いては。そうです、未だ時価と過去の高値に大きな開きがある円建て国内金価格の意味することは「金」を基点に通貨を捉えると、日本円が最強の通貨になっているという事実です。円が「金」に対し価値を減らしていない唯一の主要通貨と言えるのです。

実際に1980年1月当時のドル円相場は1ドル=240円前後ですが、2010年9月時点では1ドルは80円台前半で推移していますので、金はドルに対して上がっている、それ以上に円がドルに対して上がっているということになります。ドル<(ドル建て)金<円という図式です。

●各国ともに膨れ上がる財政赤字

2008年秋の米大手投資銀行リーマン・ブラザーズの破綻をきっかけに起きた金融バブルの崩壊による景気後退は、世界的規模で広がりました。しかしその程度は、やはり震源地である米国また欧州の落ち込みが大きかったのです。各国ともに景気の底割れを防ぐために政府による巨額の財政支出が行われ、その効果から落ち込みに歯止めが掛りました。ところが、そのテコ入れ策が切れるタイミングに差し掛かると、再び景気の先行きが怪しくなるという状況となりました。すでに各国ともに国債の増発で国家財政は火の車状態となっています。欧州では総合的な経済基盤から考えて返済に不安のある規模の赤字を抱えたギリシャが、市場からイエローカードを突きつけられ、レッドカード寸前でIMF(国際通貨基金)などの救済の対象となりました。

世界的に政府の借金拡大に対し厳しい視線が向けられるなかで、浮上しているのが日本の健全性ということでした。日本は世界に知れ渡るほど政府が巨額の赤字を抱えています。国債など「国の借金」は2010年3月末で過去最大の882兆円となり(財務省発表)、国全体の経済規模(GDP)の200%に接近する勢いで拡大しています。その比率は世界最悪でこの面では危機に陥ったギリシャの比ではありません。それではなぜそんな日本の状況が海外からは「健全」と見られるのでしょうか?

●健全(?)なる通貨「円」の背景

まず日本国政府の赤字である国債が、ほとんどが国内で賄われているという事実です。全体の95%は国内の銀行や保険会社などの購入で消化されており、資金の引き上げなど海外の影響を受けにくいのです。日本の個人金融資産は1453兆円(2010年6月末時点、日銀調べ)と潤沢で、この資金が預入れ機関を通じて国債の購入に回っているのです。

同時に日本は世界最大の債権国でもあります。財務省の資料によると、その額は2009年末に266兆円と過去最高となっているのです。その結果、かつて貿易立国などといわれた日本ですが、海外から受け取る利息や配当収入は貿易で稼ぐ黒字の2倍の規模(2009年度)にもなる国になっているのです。この過去の蓄積からくる強さが、日本円をして金に対して減価していない強い通貨にしてきたといえるでしょう。

海外から見れば“(大赤字の)政府の財布“も”(黒字の)民間の財布”も“日本国の枠組みの中では同じ“財布”にみえるのです。各国財政が悪化する中で、もともと政府債務の大きいものの日本の状況が比較優位に立つことになり、それがここまでの円高につながったと言えそうです。

●無国籍通貨“ゴールド”の選択

それでは、この比較優位がいつまでも続くのかが問題になります。

すでに指摘されているように都市部と地方の格差の拡大、財政支出上の無駄や少子高齢化、年金問題などなど難問山積状態は日本も同じです。財源不足のなかで国債の大量発行も当面は続くことになります。まだ国内の預金や年金資金に余裕があるため当座は大丈夫でしょう。とはいうものの一方で国内消化ができなくなり、海外に頼る必要が出る時代の到来はこのままでは否定できないのも事実です。その転換点を見極めるのは非常に難しい作業といえます。過去の高成長という蓄えを基にした政策的なテコ入れ策は20年に及びました。政府の財政赤字を支える民間貯蓄にも限りがあるばかりか、年金受給者の拡大で年金支払いや貯蓄の取り崩しが始まるタイミングに入ろうとしています。相場の常として行きすぎた円高の後に日本要因からの円安が将来起きる可能性は否めず、そうした事態への備えという観点も投資には必要となります。

前代未聞の国際金融環境のなかで最強の通貨となっている円。繰り返しますが強い円ゆえに過去の高値にまだ届いていない国内金価格。その円の強さを利用して「金」に換えておく。円高は真の日本の実力か、あるいは比較優位の中で生まれた幻想(バブル)か。円からドルでもユーロでもない“無国籍通貨ゴールド”に資金の一部をシフトしておくのは、これからの時代を考えるならば合理的な判断といえるではないでしょうか。

ドル建て金価格の推移(オンス)

ユーロ建て金価格の推移(オンス)

英ポンド建て金価格の推移(オンス)

インド・ルビー建て金価格の推移(オンス)

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