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2008/07/14 第197話  ふたたび高まった信用不安
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先週の海外金市場は、週末にかけて更に高まった米政府系住宅金融の財務内
容に対する懸念から株式市場、債券市場、ドル相場ともに売られたことから
急騰。スポット価格も一時967ドルを付け、終盤は964〜965ドルで
の推移。一方でイランとイスラエル間の緊張の高まりが伝えられるなか原油
価格も上昇、ドル安の後押しもあり一時147.27ドルと過去最高値を更
新し、こちらも金価格の押し上げ要因となった。

ファニー・メイ、フレディ・マックという米政府系住宅金融2社の問題は、
両社が発行している債券が、政府系ということで(実際に政府の保証はない
にもかかわらず)米国債に次ぐ位置づけとなっており、機関債あるいはエー
ジェンシー債と呼ばれ、各国政府はじめ機関投資家に広く保有されていると
ころにもポイントがある。各国中央銀行など政府機関は外貨準備となってい
るドルの運用手段として保有しており、なかでも中国は大量保有で知られて
いる。こうしたことも、両社の信用不安の高まりを米国政府は放置できない
といえる。

この問題が急速に関心を集めた先週、ポールソン財務長官やそして週末には
ブッシュ大統領まで記者会見などで、この2つの機関は「非常に重要な役割
を果たしている」との表現を使っていたのだが、米国内にとどまらず国際的
な規模での問題ゆえ、海外の該当する債券保有者へ米国政府が対応策に乗り
出すので安心しなさいというメッセージであったという受け止め方のできる
ものだった。

結局、日本時間の7月14日の午前中に米国財務省により救済策が示された
が、市場の心理的な動揺の広がりを抑えようとの観点が色濃いものといって
いいだろう。東京などアジアの時間帯で、このニュースはどう評価するか市
場には迷いが生じている様子で、今夜のNY待ちといったところ。傷んだ両社
が仮に資金繰りに困った場合にFRB(米中央銀行)が直接融資をすることも盛
り込まれたが、これは2社を通じてFRBが住宅ローンの“つなぎ融資”をする
という側面もあるわけで、中央銀行がさらにリスク資産を抱えるという理解
もできるものとなる。すでに証券会社向け特別融資枠を設けたことで、FRBは
民間の銀行が担保に取りたがらない住宅ローン証券化商品を受け入れている
ので、拡大するとFRB自体の資産内容の悪化懸念がドル相場に悪影響を与える
材料となり得るといえるわけだ。

ちなみに週末11日に金ETFの残高が46トン増加し、金市場内では話題を呼
んでいる。東京証券取引所にも重複上場されているSPDRゴールド・シェアの
残高がニューヨーク証券取引所で増えたものだが、足元の金融不安とインフ
レ懸念という環境のなかで、機関投資家の一部で安全資産としての金取得が
進んでいるものと見られる。

今週はいよいよ米銀大手の決算が発表されるので、個別の内容にも関心が広
がり、金市場の値動きも大きくなりそうだ。(7月14日記)
金融・貴金属アナリスト
亀井幸一郎
※本レポートは執筆者の個人的な見解を述べたものであり、実際の投資に
あたってはお客様ご自身にてリスクをご判断ください。

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